[注意書き:大河山南敬介の声・口調でお読みください。]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、貴女はなぜそこまでして私のもとへ?

 

 

 

 

 

 

 

 

京の暑苦しい夏の夜。

むしむしとしたこの暑さで し始めてきた頭痛に

私は書を読むのを途中で置いて床につくことにしました。

 

だるい中にも ウトウトとし始めると、どこからともなく“彼女”が現れました。

 

ただでさえこの寝苦しい夜、しつこく付き纏って来る彼女を私は邪険に追い払いました。

しかし、どうしても理解してくれなかった。

今は貴女に向き合い相手にする余裕も体力も無いのに。

今夜は一人静かにゆっくりと眠りたいのに。

私はどうしても我慢出来ずに布団を頭から被りました。

 

すると彼女は、今夜は特に積極的なのでしょう、

なんと私の布団の中にまで侵入してしまいました。

 

 

ああ、このままではマズイ。

 

 

どうして貴女はいつもしつこいのか。

そこまでして子を成したいのでしょうか。

私は、申し訳ありませんが貴女のことは好いてなどいないのに。

 

このままではまずい、振り払わねば。

情熱的な貴女をこの布団の中から追い出さねば。

しかし、頭痛とだるさ、そして睡魔で起き上がる気になれませんでした。

 

そして彼女は、私がどんなに嫌な顔をしても

何度も何度も迫ってくる。

 

嗚呼、どうしてそこまで私に?

私よりも、もっと若くて貴女にとってよさそうは人は

この屯所内にたくさんいるではないですか。

 

 

 

 

 

………結局、

彼女のせいで一睡も出来ず、朝を向かえて。

 

 

 

 

 

残ったものは、睡眠不足による倦怠感と、いまだ治らない頭痛と、

首筋に彼女に付けられた赤い痕と。

その痕を認めた時、さすがの穏和で有名な私も 

この暑さも加わってか極度の怒りを覚えました。

 

 

 

煙草に火をつけ、彼女に向かって勢いよく煙を吐き出します。

そして、彼女が驚いてひるんだところを

---彼女相手に抜刀するのはさすがに憚られたので---感情に任せて

思いっきりぶっ叩いてしまったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、昨夜貴女が出て行ってくれさえすれば、こんなことにはならなかったのに……」

 

「……(ひきつり笑い)……山南さん、どうしたんですか」

「おやこれは土方君、お恥ずかしい。聞かれてしまいましたか(照笑)」

「(いや一体誰に向かって話してたんだアンタ!でっけー独り言!) はは、大変だったな…」

「ええ、困ったものですよ(苦笑)」

しっかし、叩くではなくぶっ叩くだもんなぁ、

山南のやつ、女の尻にまで引かれてそうな印象があったけど

意外と男らしい(?)ところがあるんだな……

「で、その『彼女』は一体何処へ?」

土方が微妙に感心しながら尋ねると

「ええ、あの辺りです」

「?」

……え?部屋の隅指されても。

「勢い余って殺(あや)めてしまいました(笑)」

「えー!」

『(笑)』じゃねぇだろ山南!!アンタやっぱり怖いよ!

「そんなに驚くことですか?」

「驚くも何も!何サラリと言ってんだよ!大事件じゃねぇか!!」

「はは、土方君は鬼の副長やら血の亡者とまで言われてますが
本当は まさに虫も殺せない人だったのですね」

「何呑気なこと言ってんだよ!何が『土方君はまさに』って……」

 

 

え?『まさに』?

 

 

「ああ、血を吸われてしまったところがムズムズしますよ、何か薬でもないものでしょうかね」

 

 

まさか彼女って……

 

 

「アレのせいでおかげで寝不足ですよ、こんなことなら最初から殺しておけばよかったですよ、

 

 

 

てめェ紛らわしいんだよ(怒)

 

 

 

ずっこけつつも、でも意外にユーモラスな山南に

ロマンティックが止まらない土方だった。ン〜なわけない。

 

 

 

 

 

 

 

[完]

※ 補足:血を吸う蚊は雌です。

 

 

 

 

 

 

 

 


まだ4月だというのに、寝てる時蚊が現れやがりまして。血を吸うのは許す!あのプーンっていう音が嫌いなんだ!!と思いました。

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